キミに触れたくて。


放課後、美術室に行くと、甘い香りはするが、先輩の姿はなかった。


そのかわりにそこにいたのは、朝の女。

さっちと中谷さんだった。

仲良く話していた。



正直、集中して絵を描いている私にとっては、さっちは邪魔な存在だった。



美術室の隣は、音楽室だった。

さっちは器楽部だったため、ここへはすぐにやってこれるのだ。



そこへ先生がやってきた。



「おぉ、七瀬。来週からテストだろ?今週はグループデッサンしないから、テスト勉強しろよー。」



そして、いつものように研究室に戻っていった。



(だから先輩の香りだけ残ってたのか…)



今日は渋々家に帰ることにした。


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