キミに触れたくて。
クラスの子が、心配そうに遠くから眺めているのがわかった。
だいぶ泣いて落ち着いてきたので、亮佑に電話をかけた。
「ねぇ、どうすんの?別れるの?」
すると亮佑から思いもよらない言葉が返ってきた。
「別れたいって俺の方が思ってたし。別に、お前のことなんて最初から好きじゃなかったんだよ!お前で我慢してやったんだ。」
ひどすぎる。
悲しみなど残らなかった。
ただ悔しかった。
他の可愛い子達と付き合えないからって、私で我慢してたのかと思うと、自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。
濡れた頬をふいて、クラスのみんなに謝った。
「ごめんね、みんな勉強してるのに、騒がしくしちゃって」
みんなは暖かい目で私を見てくれた。
「あんな男、最初から杏ちゃんには似合わなかったんだから、別れて正解!」
そんな言葉が嬉しかった。
そして、夏から始まった恋は終わったのだ。