キミに触れたくて。
#3 敵
12月に入り、クリスマスに向けて人々が動きだす。
やはり、一人のクリスマスは淋しいからだ。
私もフリーになってしまったし、本気で先輩にアピールすることにした。
「麻里はクリスマスどうするの?」
携帯をかまいながら、麻里は答えた。
「彼氏と一緒にいるけど…。そーいえば、あの先輩と仲良く話してた女、先輩のこと好きみたいだよ。」
「え?!」
嫌な予感が的中。
「なんか…クリスマス狙ってるみたいだし。ずっと好きだったらしいんだけど、男がなかなか付き合ってくれないらしいよ。」
同じ学年の女子からは、あまり印象が良くないらしい。
女の子をもてあそんでいるという噂もある。
でも、そんなこと私は信じなかった。
あんなに優しい先輩が、そんなことをするはずがない。
「杏、気をつけなよ。…女の方ね。杏のこと、絶対チェックしにくるから。」
「う、うん…」