キミに触れたくて。
「お、杏ちゃん!」
元気な声で話し掛けてきた。
「私も美大目指すことにしたから、よろしくね。」
急なことでびっくりした。
まぁ、一緒に同じ道を目指す人が多い方が、刺激になるので、私は別にかまわなかった。
さっちも最初は一人でデッサンの練習を始めた。
しかし、なかなか上達しない。
というよりも、決して絵がうまいとは言えるようなものではなかった。
美大を目指すには、少し難しい感じに見えた。
その日、元輝先輩は早めに帰る準備をしていた。
「今日早いですね。」
「あぁ…ちょっと天気悪いし、早く帰ろうと思って。一緒に帰る?」
私はもうちょっと描いていきたかったが、一緒に帰りたかったので、片付けた。
するとさっちが近づいてきた。
「杏ちゃん、私もいい?」
さっちも一緒に帰ると言うのだ。
さすがに断ることができないので、
「いいよ。」
そう答えた。