キミに触れたくて。
#4 甘
ついに、クリスマスイブ前日。
結局、私の予定は埋まることなどなかった。
既に学校は冬休みに入っていて、先輩に会うこともなかった。
しかし、黙って先輩に彼女ができるのを見ているのも嫌だったので、メールをしてみた。
『先輩、結局ディズニーランドは行くんですか?』
しばらくすると返ってきた。
『行かないことにしたよ。お金もかかるしね。』
その言葉が何よりも嬉しかった。
『じゃー…クリスマスは予定ないんですか?』
『予定は一応あるよ。まぁ、家族と出かけるんだけどね。杏ちゃんは?』
『私はひとりぼっちのクリスマスですよ。彼氏もいないし、今年はおとなしく家でケーキ食べますよ。』
『お互い淋しいね(笑)』
そんなメールをしながら、ふとさっちのことを思い出した。
『あの…新しく美大志望の子、増えたじゃないですか。先輩ってあの子と仲がいいんですか?』