キミに触れたくて。


冬休みも終わり、一気に先輩達は受験で忙しくなった。



久しぶりに美術室に行くと、先輩は先生と真面目な話をしていた。



後から何の話をしていたのか聞いた。


「俺、美大受験やめることにしたんだ。その代わりに、服飾の大学に行くことにする。」



美大を諦めるのは、正直自分にはそこまで絵の才能がないというのと、やはり、1番好きな服の勉強をしたいからだそうだ。



「しばらく、受験とかで東京にいるから会えないけど、杏ちゃんは、美大諦めずに頑張ってね。」



そうして、頭を撫でてくれた。



それがとても嬉しくて、でも恥ずかしくて、先輩に何も言えずに、先輩は美術室を去って行った。


それから私は、先輩の受験を邪魔してはいけないと思い、メールもいっさいしなかった。


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