キミに触れたくて。
次の日、亮佑とは気まずかった。
幸い、隣のクラスだったため、廊下ですれ違うだけだったが。
昼休み、麻里に相談した。
「私さ、亮佑のこと…どうしたらいいかわかんなくて。実は、秋ちゃんのこと好きで。まぁ、軽くフラれちゃったんだけどね。これで、亮佑のとこ行ったら、ダメかな…?」
麻里は、呆れたように言った。
「好きな人いると思ってたけど、宇佐美君じゃなかったんだ。」
宇佐美とは、去年のクリスマスまで付き合っていた元彼である。
正直、今でも引きずっていたが、好きというよりは、憧れに近いものがあった。
別れてから、春に一度告白したが、
「水泳に集中したい」
と言われ、あっさりフラれてしまったのだ。
部活を理由にフラれたが、実際は、すでに新しい彼女がいたらしい。
本当のこと言ってくれれば良かったのに…
と、今でも思う。
亮佑は、そのことを麻里に相談していたらしい。
「杏、まだ宇佐美のこと好きなのかな…」
と。
「亮佑に気持ち伝えたら?」
そう言って、麻里は自分の席へ戻って行った。