アナタとの距離
「もしもし☆花梨です」
『あ、もしもし花梨?ユウミだけど今大丈夫?』
相手は、同じ時期に店に入ったユウミからだった。
「あ、ユウミどした?」
『じつは、お願いがあってさぁ。私、今日、客と外で待ち合わせして店に行くことになってたんだけど、急に常連の客からメールきて指名されちゃってさ。。。やっぱ常連を優先したいから、今日待ち合わせしている客と、会って、店つれてきてくれない?』
「え。。」
ユウミはいつもそう。
常連客を大切にするのは良いんだけど、お客さんのランクをつけるのだ。
2つの約束が重なったときは、どっちが自分にとってお金がはいる客か考える。。そして、必要ない客は私に回ってくる。。。
『ね、花梨お願い♪花梨の客でつけて良いからさ』
実際、私が上位をキープしているのにはユウミの客がまわってきてるってのもあるから、悪いことではない。。。。
ただ、
ただ、私は外でお客とは会いたくない。。
あの建物の中だから花梨でいられるだけであり、一歩外に出れば私は彩乃だ。。。。
『お願い。花梨。。花梨にしか頼めないからさ。』
確かにユウミは仕事仲間のなかでは一番仲が良い。。
「わかった☆待ち合わせするわ。」
仕方ないよね。。
外で花梨でいるのは、本当は嫌だけど、さっさと会って、店に入ればよいし。。。
私はユウミに時間、場所と、お客の名前、番号を聞いて、急いで準備をして、待ち合わせ場所へ向かった。