大嫌いでも大好きだから
なんでこの人、
わたしの名前知ってるんだろう。
怪しい…。
そう思いながら、
彼を見つめた。
保健室の中はわたしと鳳くん以外誰もいない。
いわゆる密室。
シンとなる空気が冷たい。
そうしていると瞬間的に、突然腕を掴まれた。
痛いくらい力強く。
「きゃっ!?」
わたしはバランスを崩して前のめりに倒れ、
鳳くんの胸元にぶつかる。
すると彼は耳元でこう囁いた。
「俺と付き合ってよ、紫音ちゃん」