大嫌いでも大好きだから

小学校までの梓は、
冷たいけど優しい。

そんな人だった。



善の心を持った、
思いやりがあって、

泣き虫のわたしを、
よく慰めてくれた。




けど。
中学に入ってからだな。

梓は変わったのは。


わたしと接するときだけ、
氷のように冷え切った目をする。



そう。

わたしといるときだけ、
彼は冷たくなった。



はじめは、

「わたしに気があるのかな」

なんて、
自惚れたりもした。


でもやっぱりそれは、
単なる自惚れでしかなくて。



本気で嫌われてるって悟ったのも、
そう遅くはなかった。
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