「景チャンお待たせ」

唯呼が家の奥からバタバタと走って出てきた。

「本ト待たせすぎ!!
私じゃなかったら、もうとっくに置いてかれてるわょ!!」

と景子は少し怒って笑った。唯呼はそんな景子が大好きだった。

「それじゃぁパパ・ママ行ってきます」

唯呼はいつも玄関に置いてある写真にそう言って家を出る。
するとかならず景子が同じ質問をする。

「おじさんとおばさんから連絡とかあるの?」

「うぅん!
最近は忙しいのか連絡はないょ」

唯呼はあっさりと答える。
「そっかぁ…」

と景子は少し切なそうに返事をした。

「でもね景チャン、私全然寂しくないょ
だって景チャンが居てくれるし」

唯呼はいつも決まってこう言った。
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