「それより景チャンちょっと走った方がいいかも」

唯呼は手に持っていた携帯をみながらそう言った。

「嫌ょ!!
私の髪が乱れるでしょ!!
毎朝30分ブローして、セットに1時間かけてるのょ!!
唯呼みたぃにサラサラストレートの人には分からないでしょうけどね」

景子の髪はいつも綺麗にギャル巻きしてあった。それとは反対に唯呼の髪は綺麗に長く伸びたストレートだった。

「そうだったんだぁ
道理で景チャンの髪の毛って綺麗なんだね」

唯呼は悪びれもなくそう言った。

「全くこの天然娘が!!!」

と、景子は少し苛立っていたが

“ゴトン・ゴトン・ゴトン・ゴトン”

と言う電車の音で怒りそこなった。

「唯呼!電車行っちゃったぁ」

「間に合わなかったね」

二人は電車に乗りそこねてしまった。

「どうしょっかぁ?」

景子はちょっと嬉しそうに唯呼に聞いた。

「そうだねぇ…
ここまで来たんだから、一応駅ん中には入ろう」
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