上司なダーリン
その日も2人はドライブを楽しんでいた。昼食を済ませ、たくちんが
「次どこ行く?」
「たくちんに任せる」
「じゃあホテルに入ってもいい?」
「…………何で?」
「いちゃいちゃしたいから」
「今でもいちゃいちゃしてるじゃない」
車の中ではいつも手を繋いでいた。人目を気にせず、誰にも見られる事もなかったから。2人きりの空間が私に取って聖域だった。
「ダメ?瀬菜が嫌なら行かないけど…」
「…何にもしない?」
「うん。何にもしない」
こうして私たちは2度目のホテルへと入って行った…
「わぁプリクラがあるよ!」
部屋に入るとプリクラの機械が置いてあった。
「ねぇ、一緒にプリクラ撮ろうよ」はしゃぐ私にたくちんは
「えっ、俺はいいよ」
そう言ってソファーに腰掛けた。
「せっかくだから一緒に撮ろうよ。ゲーセン行くよりいいでしょ?誰も見てないから恥ずかしくないよ」
しつこい私に観念したかのように重い腰をあげやって来た。
「ちゃんと画面に入るようにね。切れてたりしたらダメよ」
私たちは頬と頬がくっつく位近くに並んだ。たくちんからは優しいシャンプーの香りがした。「じゃあ撮るよ。3、2、1」
【カシャ】
「やったぁー。これでプリクラ初めて記念日だね」
そう言って振り向いた私にたくちんはそっとキスをした。
「何にもしないって言ったのにぃ〜」
私は恥ずかしくてうつむいた。たくちんの唇は柔らかかった。
「ごめん、つい…。もう1回してもいい?」
私はぎゅっと目をつぶった。フッと唇が重なった。ほのかにタバコの香りがした。2人の初キスだった
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