上司なダーリン
日曜日、上司のお誘いのお食事。薄化粧に控えめな格好で待ち合わせの公園へ出掛けた。
既に課長は車を止めてタバコをふかしながら待っていた。会社で見る松木課長とは全く別人のように思えた。
「課長、遅くなりました」
慌てて駆け寄る私に松木課長は
「遅れてないよ。俺が早く来すぎただけだよ」
そう言って笑った。
「乗って!」
言われて後部座席へ乗ろうとした私に
「助手席空いてるよ」
そう言われ助手席に乗り込んだ。それから車はゆっくり走り出した。
「課長はどうしてお食事なんかに私を誘ったんですか?」
そう質問する私に
「大原さんは彼氏とかいるの?」
逆に質問が返ってきた。
「…いません」
そう答えると
「そうなんだ。今から美味しい伊勢エビでも食べに行こう」
はぁ?課長の考えてる事が分からなかった。お店に付いて座敷へ上がり海の見える個室に通された。
「課長、さっきの私の質問に答えてないですけど…」
私はおどおどしながら課長へ問いただした。課長は私の目を見ながらこう言った。
「初めて見た時からタイプだったんだ」
え、えぇ!!ビックリした。
「付き合えない?」
いきなりの展開に戸惑っていると料理が運ばれてきた。
「美味しそうだね」
そう言いながら食べ始めた課長を目の前に私の食は進まなかった。
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