愛した方を知らない、
sakura-1
「あ、今日そういえば入学式だねー」
昼下がりの屋上で、焼きソバパンを頬張りながら
優衣がふと思いついたかのように口にした。
「ん、今日だっけ?」
「今日じゃなかったような気がすんのは俺だけ?」
優衣の言葉に、銀時(ぎんじ)が先に答え
同じようにメロンパンを口いっぱいに頬張った
咲夜(さくや)が続ける。
「いやいやー、2人とも、自分の高校の入学式ぐらい
覚えておきましょうよ」
ケラケラと笑いながら二人の前で軽く手を振るのが
私。(ちなみに、柚羅ね?)
「あー、柚羅に言われればそんな気がしてきたー」
「って!おい!銀!どういう意味じゃー!」
「そのまんまの意味だよー?」
ニヤニヤと笑いながら優衣のほうを見ながら言葉を紡ぐ銀時。
優衣はそれにかチンと来たらしく残っていた焼きソバパンを
一気に頬張り銀時を睨みつける。
銀時はベエ、と舌を出して更に優衣を挑発する。
うん、何時もの光景だな。
等とほのぼの思っていると、急に咲夜が
「あ、後輩入ってくるんじゃん!」
と嬉しそうに漏らす。
咲夜は、サッカー部に入っているし
後輩が入ってくるのはうれしいだろうなあ…。
銀時は帰宅部。=後輩に全く興味が無い。
優衣と私は吹奏楽部に所属している。
(今年から、先輩かあ…。2年生だもんなあ)