君が見る世界、僕の見た世界





資料室の先生に声をかけて、教室の鞄を取りに戻る。


「ん?…忘れ物?」


隣の教室を通ったとき、窓際の机の中が光っているのに気づいた。


「職員室に預けるかー」


ひょいひょいとその机に向かい、それを手に取る。


「携帯かよ…。っ!?」


俺は目を疑った。だって、その携帯はLiar Loveの琉偉と同じだったから。

ファンで同じ機種ならまだ分かる。

でも…、でも、キーホルダーまで同じなんて。

…ありえない。



"私が作ったんだよ。世界で1こ"



そう言った琉偉の顔が頭に浮かぶ。

確かめてみるか…?

ポケットから自分の携帯を取り出し、電話をかける。


違ってくれ。


そう思っていた。

けど、空気を振るわせる音に、俺の期待はあっさり裏切られた。

手から伝わる振動がどこか遠くのような気がして、俺は立ち尽くした。


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