君が見る世界、僕の見た世界


*Side Ruy*


「もう最悪っ!」

"廊下を走らない"と書かれたポスターも今日は無視。

机に携帯を忘れてしまうなんて!

自転車置き場を横切ったところで気がついて、引き返してきた。




「!」



教室に走りこむと誰かが立っていた。

いや、本当は誰か分かっていた。

目立つ髪形も背格好も、ピアスも服装も。

…彼しかいない。



「えっと、これ君の?」


「は、はい…」


差し出された携帯を取ろうとするが、ぐっと手首を掴まれて距離が縮まる。


「…名前、聞いてもいい?」


「わ、若桜です」


「下は?」


「っ…」


「琉偉だよな?」


携帯でとっくにバレていたんだろう。

あと、1年だったのに!


.
< 13 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop