君が見る世界、僕の見た世界
*Side Ruy*
「もう最悪っ!」
"廊下を走らない"と書かれたポスターも今日は無視。
机に携帯を忘れてしまうなんて!
自転車置き場を横切ったところで気がついて、引き返してきた。
「!」
教室に走りこむと誰かが立っていた。
いや、本当は誰か分かっていた。
目立つ髪形も背格好も、ピアスも服装も。
…彼しかいない。
「えっと、これ君の?」
「は、はい…」
差し出された携帯を取ろうとするが、ぐっと手首を掴まれて距離が縮まる。
「…名前、聞いてもいい?」
「わ、若桜です」
「下は?」
「っ…」
「琉偉だよな?」
携帯でとっくにバレていたんだろう。
あと、1年だったのに!
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