君が見る世界、僕の見た世界







「ごめん。今日に限って予備持ってきてなくて」


どのバンドに頭を下げても貸してくれる人はいない。

時間は迫っていた。



「どうしようっ…」


「おい、Liar Love。そろそろ行けよ、時間ずれるだろ」


「冬夜<トウヤ>!?」


「この間の!」


そこに入ってきたのはこの間楽屋で騒いだ男。

冬夜というらしい。


「新しいバンドに?」


「あぁ、つーか、早くしろよ」


「それが、絃切られちゃって。予備もなくなってて…。予備貸してください!」


藁にもすがる思いで冬夜さんに頭を下げる。


「…」


少しの静寂。それを破ったのは冬夜さんだった。



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