君が見る世界、僕の見た世界


いや、何も隠れていたわけではないのだけれど。

零綺とは同じ学校の隣のH。

見たことくらいあるだろう。

零綺は普段からJOKERSであることを隠さず、ピアスをしたままで
音楽とかを快く思わない学校から目を付けられている。


「ひ、人違いでは?滅多に同じ日にライヴしませんし」


零綺にバレてしまったら学校にバレる!

そう思ったとき、ばしっと軽い音がした。


「ってぇ…」

「大衆の目の前でナンパしてんじゃねぇよ」

「そーそー、いくら琉偉ちゃんが可愛いからって口説いてんじゃねーよ!」

「輝、優希…」


きっと叩いたのは優希で蹴ったのは輝。


「はい、ごめんね」


優希はにこっと笑ってもう一度軽く零綺を叩いた。

私もにこっと笑って舞台を捌けた。

JOKERSの次は自分達のため、ギターを取りに向かう。







「何、口説かれてんの?」

「ずーるーいー!」

「あいつ、シメる…」


楽屋でギターのチューニングをしていると3人は口々に言った。


「口説かれてないって。バレるとこだった」

「まじで!?」

「同じ学校だしねー」

「大丈夫なのかよ?」

「なんとかなるっしょ」



.
< 5 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop