リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・1
練習室に一人待たされ、前の先生と両親が待合室で話をしていた時、高校生だった先生がやって来た。

そしていろいろ話をしてくれて、リラックスさせてくれた。

この教室に通い続けるのも、先生が目当て…なところもある。

けど…。

3年前まではコンクールで賞を取ったり、マスコミの前に出たりと、それなりに有名だったわたしが…今ではこんな有様。

周囲は優しかったけど、期待は大きい。

でも先生は根気良く、指導してくれる。

何故だか、先生の前だけは、とんでもない演奏になってしまうのに…。

浮かぶ涙を拭い、わたしは再びピアノに触れた。

そして、課題曲を弾く。

思い描いていた通りの音が、指から流れてくる。

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