リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・1
やがて弾き終わり、わたしはため息をついた。

「ふぅ…」

先生の前でなければ、こういう演奏ができる。

なのに…。

パチパチパチッ

「えっ」

拍手の音に驚いて顔を上げると、扉の所に優しい表情の先生がいた。

「上手くなったものだな」

「やだっ…! 聞いてたんですか?」

「ここはピアノ教室だぞ? 演奏を聴くのが、オレの仕事だ」

「そっそれはそうですけど…」

でも何も、黙って聞いていることはないのに…。
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