リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・1
「すっすみません、先生。やっぱりわたし、ダメみたいです」

震える手を握り締め、俯いた。

涙が浮いている目は見られたくない。

せめて笑っている形の口元だけでいい。

「今までゴメンなさい。ヒドイ演奏聞かせてしまって…。でも先生は良い先生でしたから」

バタバタと帰り支度をはじめる。

「それじゃ、これからも頑張ってください!」

頭を下げて、扉に向かった。

「…待ちなさい!」

でも腕を捕まれ、そのまま後ろから抱き締められた。

「せっ先生…?」

「…言い方が悪かった」

「えっ?」

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