天使はワガママに決まってる
悪そうな顔。
今の私の顔が、今度は陽先輩のS本能に
火をつけてしまったのだろう。
分かっているくせに聞き返すところが酷い。
目が潤んで、口を尖らせた私。
その頬を軽くつねりながら、早く。と
先輩は急かす。
本当、軽くてドSで俺様で――
誰よりも冷たいくせに。
でも、そんな先輩が。
「陽のこと、好き……」
顔も、仕草も
「好きじゃ足んねぇよ。」
優しい笑顔も、意地悪な笑顔も
「陽、大好き…」
声も。
「大好きじゃぁ許さねぇ。」
ワガママで、子供っぽい私を
いつだって見守ってくれた。
幸せをいっぱいくれた。
誰よりも――愛してくれていた。
ありがとうなんて、何回言っても足りないよ。
好きだって気持ちも、愛してる想いも
言葉だけじゃ収まらない。
先輩の腕を掴んで、ぐっとこちらに引き寄せる。
突然のことで抵抗もなにも出来ないまま
先輩の顔は今、私のすぐ前にある。
「愛してます、陽。」
その耳元で囁いて、
頬にチュッと小さなキスを落とす。
自分でも大胆だなとは思ったが、
先輩の上をいってやるなんて悪戯心が湧いたの。
いつか、先輩は言っていた。
”不意打ちは嫌いだ”と。
だから、ごめんね――陽。