天使はワガママに決まってる
やはり今日も両親は帰ってきていないようで、
ダイニングテーブルを見れば
冷めてでも母が作ってくれた料理――…
ではなく、
「お弁当でも買って食べなさい」という
汚い走り書きのメモと、
愛情の欠片もない千円札だけ。
そんな現状に私は小さく溜息を吐いて、
もう一度ソファに身を投じる。
「ハァー……。」
もう一度、深い溜息。
ソファに伸びていた体を、
膝を抱えて小さく丸くなる。
膝に顔を埋めると、無性に泣きたくなった。
父も母も忘れてしまったのだろうか
そんな想いで心がズタズタになっていくようで。
今日は、私の誕生日なのに、ね。
――いつもそうだ。
去年も、その前も。
約束はしていても、仕事が入ったと言って
自分の子供よりも研究の方を優先してしまう。
夕食を食べる気もしないので、
そのままソファでうずくまったまま
私は静かに泣いた。
忙しいことは分かってる。
それでも自分の傍にいて欲しいなんて、
忘れたはずの”欲”が邪魔をする。
「っ…うっ…」
ポタポタとスカートに涙の雫が溢れていった。