天使はワガママに決まってる
――しばらく泣いて、スカートに
染みが出来始めた頃
私はフッと顔を上げた。
「……そうだ…」
シン、と静まり返った部屋に
私の声だけが響く。
無意識に立ち上がると、
涙も拭わずに二階の自室へ足を運ぶ。
そして机の引き出しをそっ…と開けた。
「あった。」
中に入っていたノート。
大分書き込んだせいか、
ヨレヨレに曲がってしまったそれを
手にとって中をパラパラと捲る。
中には、私の全て――発明品の設計図が書き込んであった
絵には自信があるほうなので、
精密に書かれたその様々な設計図たちを
1ページ1ページ、確認するように見ていく。
私は、あるページで捲る手を止めた。
「これだ……。」
私の瞳に映る、精巧な人の絵。
これは、私の最高傑作のつもりだ。
私は無意識にその口に笑みを浮かべた。
――人型アンドロイド――
幼い頃から発明好きだった私の、最大の夢。
まるで、人間よりも人間らしい
”ロボット”を作ること。
人間のような感情さえも持ち合わせた
私の造りだす――”人間”。
昔から、これについては
ずっと思案し続けてきた。
そのためか周囲からは”不気味”や
”変人”と恐れられ、
避けられるようになっていたのだが。
けれどこれが成功すれば、別にもう友達なんて要らない。
だって私の理想の”友達”を
私の手で作るのだから。
「フフ…。」
私の技術力も、年齢相応に上達してきたと思う。
このために私は試行錯誤を続けてきたのだ。
それに――今なら、何だって
出来るような気がした。
”不可能”なんて言葉が、
今の私には見当たらなくて。
それから我を失ったように、
私は工具を握りしめた。