天使はワガママに決まってる
「私の名前は瀬那。
私があなたを作ったのよ。」
「せ…な…?」
「そ。」
そのとき、少年の体内から
ピピピッという機械音が聞こえてきた。
きっと今私が言ったことを記憶しているのだろう。
――彼は私が試行錯誤を重ねた、
最高傑作の機能を持ち合わせている。
教えた言葉を次々と理解し、
それをどの場面で使うかを瞬時に判断。
学力や運動面においても吸収力を高めた、
頭脳ロボットである。
だから、この少年ロボットが成功していれば
ある程度の会話は可能になるわけだ。
感情がないから、淡々としたことしか無理だろうが
それでも私は充分満足していた。
「あなたの名前はそうね……”エル”がいい。」
「エル?」
「そうよ。それがあなたの名前。」
口でそれを何回も繰り返すエルを見つめる。
「これからエルは私の家族。」
「よろしくね。」
――未だ、きっと”家族”という言葉の意味を
分かっていないだろうロボットは、
今日から私の”家族”になった。