天使はワガママに決まってる
後で考えると、それはいい考えだと思った。
学校ならもっともっとエルは知識を吸収できるし
私もずっとエルと一緒にいられる。
編入手続きくらい、
親の名前を使えば何とかなるだろうし。
「……分かった。
何とかしてみるよ。」
このとき、
私は全く気が付いていなかったんだろう。
それがあまりにも浅はかな考えだったなんて。
これが――…
”決裂”へのカウントダウンになるなんて
想像もしてなかった。
*
「新しいお友達、安曇エルくんです。
みんな、仲良くしてあげること!」
あれから3日後。
私は、見事エルを学校に
編入させることに成功した。
制服を着て、初々しく教卓の前に立つエルを
私は誇らしげに見つめる。
「あづみえるです!よろしくね。」
よくもまぁ、成功したと思う。
それもたったの3日で。
経緯は色々あって、それはそれは
長い道のりだった。
ニッコリと満面の笑みを浮かべるエルに
教室のいたるところから
コソコソと聞こえてくる会話。
”格好いいねー” だとか
”彼女とかいるのかな?!” とか。
ほとんどが女子ばかりで、
しかもそんな会話が聞こえれば
私は自然とムッとした。
(エルは私のロボットなのに。)
自分でもらしくないな、と思いつつ
既に人気者となりつつあるエルに対しても、
彼女に対するものと同じような
感情を抱いていた。
その原因が一体何なのか、
まだ私は理解していない。