天使はワガママに決まってる
エルの周りに沢山人が集まってきたので、
私は無意識に椅子をズズッと引いて、
エル達に背を向ける。
エルはそれに気づいていないようで、
周囲の質問攻めに
笑顔で必死になって答えていた。
(別に嫉妬とかしてるわけじゃないし。)
(エルは私が作ったロボットなんだもの。
あの子は私の自慢……。)
(そうでしょ……?)
馬鹿みたいだった。
自分で作ったロボットなのに、嫉妬なんかして。
相手はどれだけ人間に近くても”機械”。
しかしそれを考えると、また心の奥が
寂しさで疼きだす。
エル登校初日から、私の心は
既にごちゃごちゃだった。
エルを学校に連れてくるんじゃなかったと、
少しだけ思ってしまう自分。
そんな自分が嫌になって、私はフルフルと頭を振った。
(エルは私の家族……私だけのロボット…。)
隣からは、楽しげな声が聞こえてくる。
「どこから引っ越してきたんだ?」
「えー?分かんない。」
「エルくんって格好いいよねー!」
「そう?ありがとう!」
私は窓辺に頬杖をついて、いかにも
関係ないです。
というような顔をしていたが
本当はその会話は完璧に聞いていた。
「好きな子とかいるの?!」
少女特有の甲高い声に、眉を顰めつつ
咄嗟にその声の主の方へ顔を向ける。
(何て質問してんのよ!!)
と、彼女を睨みながら私は内心焦っていた。
エルに好きな子がいるわけではないが……
「もちろん、せなだよ。」
『は??!!』
クラスメイト達の、驚いた表情。
私は思わず頭を抱えた。