天使はワガママに決まってる
――しまった
私はエルに”恋愛感情”というものを
教えていない。
そう思っても時既に遅し。
ニコニコと微笑んだままのエルに、
質問した少女は呆然とした顔のまま
突然私のほうへ歩み寄ってきた。
キツイ香水の匂いが、
私の周囲を覆う。
「あなたたち、従兄弟なんでしょ?!」
「は……?」
またあの甲高い声。
思わず耳を塞ぎたくなる。
確かに、あのエルの言い方では
誤解されるのも当たり前だ。
他のクラスメイトも興味津々というように、
私に視線を向ける。
「そんな禁断の恋ってありなの?!」
「知らないわよ……。」
――マセすぎだ。
と心の中でツッコミをいれて、
私はハァ…と溜息を吐く。
「別にそんな関係じゃないし。」
どうやらこれから、大変な日々になりそうだ。