天使はワガママに決まってる
と思いつつ、私は顔にかかった
自分の長い髪をスッと後ろにはらって
嫌味な笑みを口元に浮かべる。
「さぁ?どうせ私じゃない?」
自分でも嫌味な奴だということは
ちゃんと自覚している。
でも、やっぱり周囲に合わせることは出来なくて
いつもこうして自分から突き放してしまうのだ。
こんな風にハッキリ言ってやれば、
女は戸惑ったように踵を返して去っていった。
ここ数日、1回はこうやって誰かから質問される。
その度にああして追い払ってきたわけだけれど――
彼女達は懲りることもなく、
結局はエルにヘラヘラと話しかける。
「フン……っ。」
男子にも女子にも囲まれて、
いつの間にかクラスの人気者になっていたエル。
彼は”ロボット”なのに。
こんな性格だから、いつしか1人になっていた私の傍に
ずっといてくれると思って、学校に連れてきたのに。
最近では、会話をまともに交わすのは
帰り道だけになりそうな予感もしてくる。
いっそのこと、
ロボットだということをバラしてやろうか、
と考えることもある。
けれどその度に――
「あ、せなっ!」
そう言って、さり気なく
エルは1人でいる私のもとに飛んで来てくれる。
そんな彼を見るとどこか安心する自分がいた。