天使はワガママに決まってる
それから、私達の関係は何の変化もないまま
エルが出来た日からは、もう少しで
3ヶ月が経とうとしていた。
毎日が本当にあっという間だったように感じるけれど
日々を過ごすごとに、エルの知識もどんどん高まって
いまではもう、他の人と大して差は無くなっている。
正直、ここまでのレベルに達するとは
私も想像していなかったほどに。
段々エルからロボットらしさというものが抜けて
私も一緒にいて違和感は少なくなっている。
しかし、相変わらず一緒に帰り、隣で笑うエルには
これも私の想像以上の”友達”ができていた。
「おーエル!また明日なー。」
「うん!」
「今日もラブラブだなーお前ら。仲良くやれよー!」
「ラブラブってなーにー?」
「また明日教えてやるよ!」
エルのこういう常識の無さにも、
クラスメイトたちも随分慣れてきたようで
エルが何か問うたびに、
クラスメイトたちは細かく丁寧に教えているのだ。
そのせいか、いらないことまで覚えてくるエル。
以前も――
"ねぇ瀬那。お互いに好きな人同士が
付き合うって言ってたんだけどね
だったら僕と瀬那は付き合ってるってこと?"
なんて帰り道に聞いてくるものだから
思わず動揺した。
そのときは必死で動揺を隠しながら
"…あのねぇ、付き合うっていうのは
家族なんだから違うのよ"
と言ったところ、エルは「そうなんだ。」とアッサリ納得して
また別の話題を話し始めた。
けれどその話を半分聞きながら、心の中では
さっき言った自分の言葉に
傷ついている自分に気が付いていた。
私の心の中は、それからずっと
このことで霞がかかっている。
自分の心がフィルターがかかったように、
何も見えないのだ。
でも最近、少しずつ分かってきた。
エル目当てで話しかけてくる女子たちと
それを何も思わずに純粋に笑いかけるエル。
その姿を見るたびに、
以前のように胸がキリキリと泣くように痛い。
そこで、今になってようやく分かった。
――私は、
エルに
”恋”したんだってこと