天使はワガママに決まってる

馬鹿みたいだった。


自分で作ったロボットに、
自分自身が恋をするだなんて。


絶対に結ばれないと分かっていても、
気が付けばエルを想うだけで胸が苦しい。


エルに恋心を抱いてしまったことに気が付いてから――
私は無意識にエルを避けるようになっていた。

自分では理由は分からなかったけれど、
きっと届かない気持ちに傷つくのが怖くて。
だから私は、休み時間なども
自らエルの元へ行くことはなくなった。


しかし、私の少しの期待に背くように
その頃からエルは、私が一人でいても
私の傍に来なくなっていたんだ。


(……エル…)


いつの間にか、目で追っている彼の姿。
そんな自分が嫌になって、頭を振った。

相変わらずクラスメイトに囲まれて、
楽しく談笑するエルに 、私は完全に背を向けた。


自分でも思う――
私は感情表現が下手だってこと。


自分で作ったロボットに
恋してしまった私だけれど、
その気持ちを表現するのは、
絶対に照れくさくて出来なくて。

エルにはそういう感情がないから、
決して伝わることも無いだろう。
そんな満たされない心を抱えていても
私はエルの”家族”として、
誰よりも彼の特別でいられることが嬉しかった。


ただ、それだけでよかった。


これから先、永遠に片思いでも――よかった。

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