天使はワガママに決まってる

いつか、この胸の奥に秘めた想いが
爆発してしまうのではないかと、

私はいつも気が気ではなくなっていて。


そして、そんな時は
やはり突然やってきた。



「おいエルー。」

ふと、エルとよく一緒にいる男子生徒が、
エルに声をかけているのが聞こえた。

別に今では何てことも無い日常に
私は気まぐれに耳を傾ける。
否、傾けてしまった。


この会話を
聞かなければよかったと思うには
全て遅すぎて



「お前最近、安曇瀬那と
 一緒にいないよなー。」
「そういえばそうだよな。」
「そうかな?いつも一緒に帰ってるよ?」


普段通りのいつものエル。
こういう会話を聞くたびに、
私はエルの"家族"なんだという
特別な気持ちが味わえて、
少しだけ他の女子に対して優越感に浸れる。


「つかエルって安曇の従兄弟なんだろ?
すっげぇ仲いいんだからさー
 付き合っちゃえば?っていうか結婚すればいいじゃん!」


子供らしい、浅はかな会話。
君たちはエルのことも私の気持ちも、
何も知らないから、
そんなことが無邪気に言えるんだ。

と、心の底から言ってやりたい。
私だって、出来るならそうしたいのに。


その男子の言葉に対するエルの反応が気になって、
より一層耳をたてた。


「んーでもねぇ、瀬那は
 家族は付き合えないって言ってたし……」


「それにね」



――あれ…?


ドクンドクンと高鳴る胸。
うるさいくらいに私の耳に響いてくる。


"それにね"――?


その流れは、今までのエルとは違う。
今までだったら――


"大好きだよ"


って、簡単に言ってたじゃない

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