天使はワガママに決まってる

そう言って、また彼女は笑った。
俺もつられて微笑む。


「…うっわ。その笑顔気持ち悪っ」
「うるせ。」


俺たちは声をあげて笑った。
始業式だけれど、何も変わらない俺達。
でも、それでもいい。


「ま、義務教育最後だしね。
 いつもより多めに絡んでやるよ。」
「そりゃどーも。」


そんな意味分からないことを言って、
永遠子は俺の目の前でくるくると楽しげに回った。

廊下を歩く他の生徒たちの目も気にせず。
俺だけが「危ない」だの何だの言って。


「あー春だ春ーっ!!」
「分かってるよ。」


くるくる回りながら廊下を進む彼女の後を、俺はついていく。
ふと、前を周っていた永遠子が急停止し
俺に向き合う形となった。

その表情は、似合わない微笑み。


「とりあえず、今年もよろしく!」


俺は目を丸くした。
でもその後すぐに笑いがこみ上げて来て、
二人で爆笑する。


「そんなセリフ似合わねー!」
「うるさい馬鹿!」


開いた窓からは、
咲き乱れる花の香りが微かにした。

今年こそは!

なーんて心に誓って、
今日も俺は彼女についていく。


end.
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