天使はワガママに決まってる
あたふたする俺をみて、
永遠子は吹きだして腹を抱えて大笑いした。
慌てていた俺も、
ドキドキしたままの心臓を何とか抑え込み
引きつった笑みを浮かべる。
「…男のくせに泣いて。」
「…うるせぇ。」
「ダッサ!」
「ダサくない!!」
夜の公園で、月明かりに照らされながら
俺たちは声をそろえて笑った。
声が枯れるくらい、馬鹿みたいに。
でもこれが俺たちなんだ。
「…言うの、遅すぎ。」
「へ?!何お前、気づいてたわけ?!」
「あったりまえでしょー!分かりやすいんだよ仁は。」
「あ…。」
……また、永遠子が俺の名前を呼んでくれた。
秋の誕生日以来、聞けなかった響き。
顔が思わずニヤケる。
「顔、ニヤケてる。気持ち悪っ!」
「黙れ。」
「あははっ」
笑いながら、永遠子は未だに握ったままだった肉まんを
思いっきりかじった。
雪が降り積もって、肉まんとは言えないような肉まん。
冷たい冷たいと叫ぶ彼女を、
今更ながら本当に愛おしいと思う。
「あー…やっぱ、サンタクロースはいたね。」
「は?」
「欲しいもの、ちゃんと貰えちゃったし!!」
先ほどの永遠子の言葉を思い出して、
俺はまた赤面。
つまりこれは、”Yes”ととっていいのか?
しかしあえて意地悪で、俺は聞き返した。
「欲しいものって?」
今の俺の顔はきっと今までで一番悪い顔をしているだろう。
チッ、と可愛げなく舌打ちした永遠子は
俺から顔を背けた。
…本当に素直じゃない。
「分かってんでしょ!」
「いやいや。聞きてぇし。」
ジロリと鋭い視線で俺を睨む永遠子と、
幸せに微笑む俺。
そろそろ両親が探しに来そうな時間帯だが
そんなこと気にも留めなかった。
彼女の言葉が欲しい。
俺、それだけですっげぇ元気出ると思うんだ。
離れる3年間だって、乗り切れるくらい。
「永遠子の欲しいものは?」