紅芳記
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「奥方様!
お殿様はもう間もなく到着にございます!
おそらくはあと一刻ほどかと!」
あぁ…。
ようやくお会い出来る…。
たった四ヶ月かもしれない。
でも、その四ヶ月が恐ろしく長かった。
もう、この城では宴の準備もみんな出来ている。
あとはお帰りを待つだけだった。
「お、奥方様っ!?」
私は居ても立ってもいられず、城の入口に駆けて行きました。
「お、お待ち下さりませ!
奥方様っ!!」
ふじの声が遠く聞こえる…。
ごめんなさい、相変わらずのじゃじゃ馬で。
あぁ、もう蹄の音が近い。
甲冑のカチャカチャ鳴る音も聞こえる。
もう、そこに。
信幸様っ!