紅芳記

「ねぇ、おなみ。」

「はい。」

「…どうかしたの?」

おなみの返事がいつもより冷たく返ってきました。

「怒っているの?」

「…いえ。
ただ…。」

「ただ?」

「……。」

おなみはしばらく黙ってから、

「ご無礼、先にお詫び申し上げます…!」

と言い、私の左頬を叩きました。

「…おなみ?」

じりじりと左の頬が痛みます。


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