紅芳記
玖.官位と縁談
───時は流れ文禄二年の暮れ。
「ははははは!
まさか小松が夢を投げ飛ばして心を改めさせるとはのう!
いやあ、驚いた、驚いた!」
「殿!
笑いすぎにございますわ。」
「すまん、すまん。
許せ。
この通りじゃ。」
「もう……」
太閤殿下による朝鮮出兵は一時終わりを告げ、殿は沼田城にお戻りになられました。
夢の御方様も長い湯治を終え、沼田城にお帰りになり、城においでになっていた大殿、信繁殿、そして殿は夢の御方様が湯治に行った訳を聞くやいなや大笑いしてしまわれたのです。