紅芳記
京に着き、京の御前様にご挨拶に上がりました。
「お母上様。
お久しぶりにございます。
この度のお計らい、御礼申し上げまする。」
「良いのですよ。
姫の為ならば、私は何でも致しますわ。」
「もったいのうございます…。」
柔らかく微笑むお母上様に私は心より感謝致しました。
「姫、明日、北政所様が聚楽第に来るようにとの仰せです。
何故か私と大殿も。」
「そうなのですか。」
「はい。」
「承知いたしましたわ。」