紅芳記

「姫さま、これを。」

おなみは私の手になにかのせました。

「お守りにございます。」

それは、おなみが大切にしていた鈴でした。

「これはっ…!
だめ。
これは、おなみが持っていて。」

たしか、旅の方に頂いたもので、その方はおなみの初恋だったと言っていました。

そんなに大切なものは頂けません。


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