紅芳記

「………。」

私とてお屋形さまが苦手です。

とは、言えなかった。

「無理をせずともよい。
さぁ、このような話はしまいじゃ。
それよりも、姫。
私とお屋形さまのことは、父上、母上と呼んで良いのですよ。」

「はい。
母上さま。」

すると駿河御前さま…ではなく、母上さまは立ち上がって自らのお部屋にお戻りになられました。

私も竹千代さまに今一度挨拶をして、与えられた部屋に戻りました。


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