紅芳記
長月になると、内府様はなんと大坂城の西の丸、北政所様の御殿に入られたました。
北政所様は、太閤殿下とお二人で築かれた大坂城を後にし、京の高台寺にお移りになりました。
これには淀の御方様や秀頼様も不快感を露わになされました。
そして、石田三成が強く反発されると、福島様をはじめとする諸将が石田様のお屋敷を襲撃し暗殺を企てられましたとか。
それに対して石田様は、内府様のお屋敷に敢えて逃げ込んだというではありませんか。
石田様と内府様の御対立はいよいよ世を揺るがす大戦に向けて、じりじりと大きくなっていきました。