紅芳記

義母上さまは、何故お屋形さま…義父上さまのことをあのように?

私には皆目わかりませぬ。

「姫さま…。」

私は大分険しい顔をしていたようで乳母のふじが心配そうに話し掛けてきました。

「なに…?」

「奥方さまのことを考えておられたのでございましょう?」

ふじは私の心を読んでいるかのように話をしてくれます。

「奥方さまは、お屋形さまに嫁がれる際、離縁を強いられたのでございます。」

「離縁…?」


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