何もない…
第一章 なんのために生まれ堕ちたのか。
なんのためにこの世に生まれたのかなんて、ヒマがないと普通は考えない。

自分の事を改めて考えるヒマがない間は、良くも悪くも『充実』しているといっていい。

「くみ」は、昭和44年12月13日にこの世に生まれ堕ちた。
この時代…つまり昭和の真っ只中。具体的に言えば、当時テレビがまだ箱型で、リモコンなどなく、チャンネル操作がガチャガチャだった頃、家庭事情は裕福か貧乏かでハッキリ二分化されていて、「くみ」が堕ちたのはその後者。
よくある不幸話の始まり。
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