彼にお料理
ここ、名前だけは聞いた事ある…。私みたいなOLにはあまりご縁のないようなお店だ。
通された部屋は8畳程で、床の間には季節のお花が生けられた花器が飾られていて、窓からはライトアップされた中庭が見えた。
"素敵…"
私はちょっとリッチな気分になってきて、美由紀さんに勧められるまま座布団に座った。
「美由紀さんのご実家だなんて、びっくりしました。素敵なお店ですね」
「そうかな? 私は自分の家だから何とも思わないけど。でもうれしいわ。ありがとね」
ご飯はとってもおいしかった。"牛肉の握り"ですって。きゃ~美味しすぎる。お刺身のマグロも今まで食べた中で一番美味しい。何これ。幸せ。
私はきっと幸せそうな顔をしてたんだろう。
「美味しい? 舞ちゃん笑ってくれて良かったわ」
「え…?」
「ずっと元気なかったでしょう? 心配してたのよ」
「彼とケンカでもした?」
「いえ…」
そっか心配掛けちゃったんだ。美由紀さんに相談してみようかな?
私はゆっくり悩みを話し始めた。