彼にお料理
私は土曜日のお料理の失敗のこと。恥ずかしい気持ち。情けない気持ち。翔太に会い辛い事。美由紀さんに話してみた。
「そっか、そんな事があったんだ」
「確かにショックだよね」
優しい顔で、"うんうん"と頷く美由紀さん。
「でも舞ちゃんかわいいな。さすがハタチだね。私にも遠い昔、そんな頃もあったんだなぁ…て。不謹慎かもしれないけど、昔を思い出しちゃったわ」
美由紀さんは遠くを見つめて、そう呟いた。
そして、私の方をじっと見つめて、
「このまま彼とは気まずいままでいいの?」
「別れたい?」
え?別れる? そんなつもりは微塵もない。
私は手をブンブン振りながら、
「別れるつもりなんてありませんよぉ!!」
ちょっと大声を上げてしまった。は、はずかしい。
「じゃあ、いつまでもそんな事で落ち込んでないのよ」
美由紀さんは、
「ね?」とかわいらしい笑顔で私に笑い掛けた。