彼にお料理
「美由紀さんにも私みたいな失敗あったんですか?」
「ある。ある。もっと凄いのが!」 と、ふふっと笑って言った。
「私ね、あの人と付き合い始めたのが、大学2年の時でね、やっぱり彼は一人暮らしで。
ご飯作ってあげたくて張り切ってさ、板さんから食材分けてもらって、やってみたけど、尾頭付きの魚なんて持って行っちゃったから大失敗。食べられないものが出来上がっちゃって。
私は自分が料亭の娘だし、見よう見まねで何とでもなると思ってた訳よ。
習った訳じゃないし、料理なんてしたことなかったから、出来なくて当たり前なんだけど、当時の私は大きなショックを受けちゃってね」
何かを思い出しているのか?美由紀さんの頬が紅くなる…
「でもねその時、あの人が言ってくれたの。"オレのために無理はしないで"って。"オレはラーメンなら作れるから一緒に作ろう"って」
「うれしくて泣いちゃったわ」
それから2人は一緒にインスタントラーメンを作って食べたんだそう。
社長ステキ過ぎます…
美由紀さんは最後に
「舞ちゃんが得意な物を作ってみたり、2人で一緒に本を見ながら作ってみたりでいいんじゃないのかな?」
「無理をしても続かないわよ」
と言ってニッコリと笑った。