彼にお料理


「土曜日は勝手に失敗して、勝手に拗ねて、勝手に落ち込んでごめんなさい。

私ね、やっぱり無理してた。翔太によく思われようとして、練習もしないで、出来もしない料理に手を出したの。

私ね、チャーハンなら作れる。後、カレーと焼きそばも…。

今度…、作っ…て…、あ、げる…か…ら…

だから…キライにならないで…」

一気に喋り、最後はポロポロと涙を流してた。

ずっと黙って聞いてた翔太は、真っ赤な顔をして、でも優しい顔で私を見つめ、安心したようにため息をついた。

「キライになる訳なんかないじゃんか。

オレこそ、舞にご飯を作って!て言った事、ずっと後悔してたんだ。

舞、あれからずっと元気なかったし、何だかよそよそしいかったし、オレは振られちゃうのかなって、あんなお願いしなきゃよかったって…。

オレ、舞が好きだよ。料理なんか出来なくても舞が好きなんだよ」

「ありがとう」
うれしい。泣いちゃうよ。

「私も大好き。大好きだよ」

翔太はすごいスピードで、"ちゅ"と唇にキスをした。

「仲直り」って言ってね。
ここは居酒屋だってばー!!

私は真っ赤な顔。びっくりして涙も引っ込んだ。

隣では翔太が笑ってる。

私は幸せだね。
心が暖かいよ。

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