彼にお料理
翔太は帰りの車の中、ずっとフンフン♪とハミングしながら超ご機嫌のようだった。そんなに手料理がうれしいのかな?
私は会社帰りのデートが楽しかったから今まで疑問に思った事もなかったけど、もしかしたら翔太はずっと手料理が食べたかったのかも知れない。
付き合ってもう半年にもなるのに、鈍感でダメだね、私…
そんな事を考えていたから顔に出ていたんだろうか、翔太が「気分悪い?」と心配そうに聞いてきた。
「ううん。大丈夫だよ」
「ね?翔太はそんなに手料理がうれしいの?」
「今まで私が作らなかったから呆れてる?」
私が立て続けに話し始めると、翔太は穏やかにこう言ったんだ。
「まさかぁ。呆れてる訳ないじゃん。舞の手料理さっき食べてみたいなぁって初めて思ったんだもん」
「外でのデートもいいけど、土曜日はまったりとお家デートしようぜ」
「舞のご飯作る姿も楽しみだし~」
「エプロン姿、萌え~」
なんて言いながらおちゃらけている。
まぁ、何ともお気楽な答えだこと。思い付きだったのかな? 私の気にし過ぎだったのかな?
じゃ、頑張っちゃうかな。私の心は暖かく前向きになった。
きっと翔太には私がテンパって見えてたんだね。鈍感で単純な私は気付かなかったけど。