零の狼-新撰組零番隊-
額田暗殺の任務を終え、私もこのまま別命あるまで待機する身だ。

手持ち無沙汰な事もあり、その任務を引き受ける事にした。

『そうか。では頼む。お前の今いる場所の近くに、古びた神社がある。そこで待たせているので向かってくれ』

組長はそれ以上の事は語らない。

新入隊士の素性も、特徴も、何一つとして。

零番隊は非公式の部隊だ。

その存在も、構成人員も、外部に知られる訳にはいかない。

携帯電話などという情報が漏洩しやすい端末では、詳細な事は語れないという事なのだろう。

私もそこらへんの事情はよく知っている。

だから敢えて躑躅森組長に質問する事はなかった。

合流場所に向かえば全て分かる事だ。

「…了解…任務を遂行します」

抑揚のない声で、私は返答した。

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